夏

日本には手紙の書き出しに時候の挨拶を添える文化があります。

季節や時期に応じて使い分けるため、一つの時期をとってもたくさんの時候の挨拶があります。この時候の挨拶は旧暦を基に、季節を24個に分けた二十四節気というものをベースに作られています。

そのため現在の気候とは少しずれていると感じる時候の挨拶も数多く存在します。今回はそういった時期を誤りやすい“涼風の候”についてご紹介します。

 

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涼風の候とは?

先生の画像
涼しい風、と書くことから、この時候の挨拶を使う時期は残暑も落ち着いた9月下旬から10月初めを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?

しかしこの時候の挨拶を使う時期はまだ暑さが残る時期なのです。使う時期だけでなく、読み方や意味なども含めて詳しく解説します。

 

読み方は?

“涼風の候”は“りょうふうのこう”とそのまま読みます。

“すずかぜ”とは読みません。また時候の挨拶での“候”は“そうろう”ではなく“こう”と読むので、この2点だけ注意してください。

 

どんな意味があるの?

“涼風の候”には“秋を迎え涼しい風が吹く季節となりました”という意味になります。

夏の暑さもだんだんと落ち着き始め、朝夕には心地よい涼しい風を感じる様子を表す時候の挨拶です。

 

使う時期は?

“涼風の候”を使うのに適した時期は、漢字からは想像しにくいですが8月23日頃にあたる“処暑”と呼ばれる日から9月8日頃にあたる“白露”と呼ばれる間です。

つまりまだまだけだるい暑さを感じる期間に使うのがベストなのです。

旧暦上秋は暑さ真っ盛りの8月7日頃にあたる“立秋”と呼ばれる日から始まっているので、この日から1ヶ月ほど経ち秋の気配が深まりつつあるこの時期が最適ということになります。

 

涼風の候と同じ時期に使える他の時候の挨拶は?

時候の挨拶は同じ時期にたくさんの言い方があるので、“涼風の候”を使う時期に使える他の時候の挨拶をご紹介します。

“処暑の候(しょしょのこう)”“初秋の候(しょしゅうのこう)”“新秋の候(しんしゅうのこう)”“秋涼の候(しゅうりょうのこう)”“爽秋の候(そうしゅうのこう)”などがあります。

暑さを感じさせるものもありますが、やはり秋が始まりしばらく月日が経っていることから秋という漢字が入る時候の挨拶が多いです。

 

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涼風の候を使った簡単な文例は?

手紙

“涼風の候”を使った文例をまとめました。便りを出す際にぜひ参考にしてみてください。

【個人宛に使う場合】
①涼風の候、涼しい風が吹き過ごしやすい今日この頃、○○様にはお元気でお過ごしのことと存じます。
②涼風の候、一陣の涼風に秋の訪れを感じる頃となりましたが、皆様はお変わりございませんか。

【目上の人宛に使う場合】
①涼風の候、日が経つごとに涼しくなってきましたが、○○様には一段とご隆盛のご様子心よりお喜び申し上げます。
②涼風の候、朝夕はずいぶん涼しくなりましたが、あなた様におかれましてはその後お健やかにお暮らしのことと存じます。

【企業など団体宛に使う場合】
①涼風の候、皆様にはますますご清祥とのこと大慶至極に存じます。
②涼風の候、貴会におかれましては一段とご発展のことと拝察いたしております。

 

まとめ

今回は暑い夏に涼しい風を運ぶ時候の挨拶“涼風の候”についてご紹介しました。

爽やかな挨拶なので、ぜひ今年の夏のお便りに使ってみてください。

 

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