手紙で使うことの多い季節の挨拶。

日本人らしい季節に対する気持ちや相手に対する思いやりが込められており、四季に応じてさまざまな季節の挨拶があります。

今回はその中でも暑い夏を過ぎた頃から使う機会が増える“残暑の候”についてご紹介します。

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残暑の候とは?

先生の画像

日本には四季や月に応じて時候の挨拶というものがあり、この時候の挨拶には多種多様な表現や言葉があります。

話すことよりも手紙や文書で用いることがほとんどで、日本人らしい季節を大切にする心遣いが感じられます。

その中でも残暑の候とは漢字が示すように、残暑が感じられる時期から使われます。

読み方は?

残暑の候はすべて音読みで、“ざんしょのこう”と読みます。残暑の候以外の時候の挨拶は、基本的に音読みで読むことが多いです。

どんな意味があるの?

残暑の候は“立秋を過ぎてもなお残る暑さ”や“暦の上では秋となりましたが、まだ真夏のような厳しい暑さが続く”という意味を持ちます。

その言葉の中にはうだるような暑さが長引き、早く涼しくなってほしいですね、という言葉の送り側から受け取り側に対しての思いやりが込められています。

使う時期は?

最近では残暑を感じる時期が長くなりましたが、本来は“立秋”と呼ばれる8月の始め頃から“白露”と呼ばれる日の前日の9月の始めに使う言葉です。

旧暦では8月8日の立秋を過ぎると暑い夏が終わり、少しずつ秋が始まるとされています。

そして暑さが落ち着く“処暑”と呼ばれる8月の下旬から9月の初旬頃を過ぎ、その後朝と夜に涼しい空気を感じ、草木に露がつくようになる“白露”を迎えます。

徐々に涼しくなる秋まで真夏のような暑さが長引くこの残暑の季節に、この言葉が使われるようになりました。

残暑の候と同じ時期に使える他の時候の挨拶は?

他にも“立秋の候(りっしゅうのこう)”“晩夏の候(ばんかのこう)”“新涼の候(しんりょうのこう)”“早涼の候(そうりょうのこう)”“納涼の候(のうりょうのこう)”“秋暑の候(しゅうしょのこう)”“向秋の候(こうしゅのこう)”といった時候の挨拶があります。

また○○の候といった形以外にも、“熱帯夜の続く毎日ですが”“立秋とは名ばかりの暑い日が続いています”“朝夕にはかすかに秋の気配を感じます”などの挨拶の言葉もあります。

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残暑の候を使った簡単な文例は?

辞書の画像

では時候の挨拶はどのように使うのがいいのでしょうか?言葉を送る相手ごとに、例文をまとめました。

【個人宛に使う場合】
①残暑の候、朝と夕方は過ごしやすくなってきましたが、○○様はいかがお過ごしでしょうか。
②残暑の候、夏も終わりに近づきましたが、ご家族の皆様にはお変わりなくお暮らしのことと思います。
③残暑の候、暦の上では秋になりましたが、○○様にはその後お元気でお過ごしですか。

【目上の人宛に使う場合】
①残暑の候、○○様におかれましてはその後お健やかにお暮らしのこと心よりお喜び申し上げます。
②残暑の候、秋にはまだ遠く暑い日が続いておりますが、皆様におかれましてはその後ご無事でお過ごしのことと拝察いたしております。
③残暑の候、○○様にはますますご清栄のことと存じます。

【企業などの団体宛に使う場合】
①残暑の候、貴社の皆様方におかれましてはその後お変わりなくお過ごしのことと存じます。
②残暑の候、暑さが厳しい毎日ですが、貴所にはご清祥の段謹んでお慶び申し上げます。
③残暑の候、暑い日が続きますが、皆々様におかれましては一段とご発展のことと存じます。

まとめ

今回は“残暑の候”についてご紹介しました。季節の挨拶が一言添えてあると、相手のことを思いやる優しい文面となります。残暑が厳しくなる8月の終わりから、ぜひ使ってみてください。

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