錦秋の候とは
秋も深まり、木々の葉が少しずつ色づいてくる季節。そんな季節に使いたくなる時候の挨拶が錦秋の候です。
手紙などの書き出しに使う言葉ですが、意外と使い方が難しかったり意味を知っているがゆえに使う時期を間違ってしまう事も多々あるのはご存知でしょうか?
今回は錦秋の候という時候の挨拶の読み方や意味、使う時期などを解説していきたいと思います。
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読み方を考察
錦秋の候は「きんしゅうのこう」と読みます。
あまり聞き慣れない言葉ですので、どう読んでいいか一瞬身構えてしまいますが、どちらの漢字も音読みで読めば間違いません。
多くの時候の挨拶は知っている音読みで読むことを心がけることで恥ずかしい思いをせずに済むので覚えておきましょう。
意味を考察
錦秋の候は「木々の葉が錦の織物のように色づく季節になりました」という意味になります。
錦秋の「錦」は紅葉のことを表します。紅葉の鮮やかで品がある様子はまるで錦の織物のようだと昔の人が表現したのに倣っているのですね。
また候に関しては「~の季節になりました」という意味があります。時候の挨拶の殆どは「○○の候」というつくりになっているので、覚えておきましょう。
使う時期を考察
錦秋の候は10月中旬から11月6日まで使うのが適している時候の挨拶です。
「あれ?紅葉の季節って11月中旬頃ではないの?」
って思う方多いのではないでしょうか?私も錦秋の候の時期が10月中旬というのは少し違和感が残ってしまいます。
しかし「秋」とつく時候の挨拶である以上使う時期は秋である必要性があります。秋とは二十四節気で立冬(11/7)の前日まで使うのが適している言葉です。
今の現代社会では11月いっぱいが秋と思う方も多いと思うので、使う時期に関する違和感は拭えません。昔は今よりも気温が下がるのが早かったのかなと思い調べてみました。
江戸時代の紅葉の見頃は立冬の7.8日後あたりという情報がありますので、さほど今と紅葉のシーズンはずれていないようです。
何故10月中旬から使うのかということに関しては諸説ありますが、紅葉とは木々の葉が色づき始めた事を言います。
紅葉の見頃は色づきのピークの時期ですね。10月になって寒くなっていくると徐々に木々の葉が少しずつ色づき始めます。まだ紅葉の見頃ではないですが、そういう色づいている様子の時期という意味なら少し理解出来るのではないでしょうか?
錦秋の候と同じ時期に適した時候の挨拶
「10月中旬に錦秋の候を使いづらい」
と思う方は結構いると思います。正しいのですが、手紙の相手に常識がない人と誤解されてしまう恐れを感じるのはとても良くわかります。
では同じ時期に使える言葉は他には何があるでしょうか?「清秋の候」(10/8-11/7)はとても使いやすい言葉ではないでしょうか?秋の清々しい空気感。過ごしやすくなった気候はその時期にピッタリの言葉だと思います。
他には「菊花の候」(10月-11月中旬)なども良いかもしれません。菊の咲く時期ということで季節感ある言葉になると思います。
また、11月以降に使う時候の挨拶だと思ってこのページを見ている方は11月に使うべき言葉は他にあります。是非下のリンクを参考にしていただくと幸いです。
錦繍の候という時候の挨拶
似たような時候の挨拶に錦繍の候(きんしゅうのこう)という言葉があります。
意味は木々の葉が錦の刺繍のように色づいてくる季節になりましたね。という意味になり使う時期は錦秋の候と同じ時期に使うと良いでしょう。
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錦秋の候を使った例文
- 拝啓 錦秋の候、○○様にはますますのご清祥のことと存じます
- 謹啓 錦繍の候、○○様におかれましてはいよいよご活躍のことと拝察いたしております
- 拝呈 錦秋の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます
まとめ
- 錦秋の候とはきんしゅうのこうと読みます
- 木々の葉が色づき始めてきた季節になりましたという意味になります
- 使う時期は10月中旬-11月6日までが適しています
- 同じような時候の挨拶に錦繍の候という言葉もあります
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